読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

>& STDOUT

主にソフトウェアに関する日々の標準出力+標準エラー出力

組織や社会の不条理がだいたい腑に落ちるオペレーションとイノベーションのはなし

オペレーションとイノベーション

 ここ数ヶ月、価値観を大きく拡げる概念について発見があり、思索を続けていたので、ここに書いておく。

f:id:shinsuku:20141113184954j:plain
出典: 忍び寄るイノベーションの危機 小林三郎=中央大学 大学院 戦略経営研究科 客員教授(元・ホンダ経営企画部長)

オペレーション

 「オペレーション」は95%以上の確率で成功することが求められる仕事。成功率を下げるイレギュラーな変更は原則受け付けられない。それは彼らのミッションを阻害する。高確率で成功させて当たり前、成果としてはそれをどれだけ効率よく(低コストで)遂行できたか?である。


 世の中が安心安全に回っているのはこの種の仕事がほとんどだから。
 大事なことだから2回言う。
 世の中が安心安全に回っているのはこの種の仕事がほとんどだから。


 95%程度の成功率は、例えば人事、総務、経理等の管理系業務が該当する。日本では彼らは99%以上の確率で仕事を成功させているはず。スゴい。日本以外でも、技術の進歩によって98%ぐらいの確率で成功させているのではなかろうか。オペレーション仕事の最右翼は航空や鉄道、役所などの公共機関であろう。一般的に融通が効かないという印象があるが、もし仮に「当飛行機は99%の確率で成田まで到着します」と言われたらどうか。100回に1回は墜ちるような精度であなたは満足できるだろうか。彼らが高精度で業務を遂行していくれているからこそ、そこを心配しなくても社会はまわるのだ。


 f:id:shinsuku:20040516174426j:plain:w400


 「オペレーション脳」の信条は「みんながルールを守れば社会全体が幸せになる」である。社会全体を幸せにするためという大義に則り、ときに他人にルールを守ることを強要する。彼らは秩序をもたらすことで、利益を社会全体がなるべく公平に享受できるように努力する。最も効率的で、ある意味「賢い」。しかし、仮に社会全体がオペレーション脳であったら、外敵や自然による強制的なルール変更に対応できない。ダーウインに尋ねるまでもなく「最も強い種や最も賢い種ではなく、最も変化に強い種が生き残る」のだ。これはイノベーターの仕事である。

イノベーション

 「イノベーション」はまず10%も成功しないが当たるとデカい、会社や社会に変革をもたらすレベルの仕事。これを成功させた組織や個人は、いかにも最初から狙い澄まして、脇目もふらずにこれを成し遂げた、という演出が部外者によってされることが多いが、おそらく輝かしい業績の影にはその10倍近くの失敗プロジェクト、理解を得にくい努力があったハズである。

 イノベーション仕事は前例がないがために分析や論理が基本的に通用しない。常識的なやり方も、適用できる部分とそうでない部分を直感で見極めながら進めなければならない。

 ある個人の強烈なビジョンと実行力によって生まれた製品が世の中を少し変革し、それをエネルギーにまたビジョンが強化されていく。自分を天才と信じつづけることが出来る人が天才である、との定義にそえば、自らのビジョンが世の中を変革すると信じ続けることが出来るかどうかが成功の大半を左右するこの仕事は、ただしく尊称としての天才しか成し得ないのかもしれない。

 イノベーションが無ければ組織や社会は徐々に(比較的に)衰退していく。1人の天才のかげに9人の"足り得なかった"天才がいるはずである。その9人を必要経費と出来ることが、社会や企業に求められる度量であろう。


f:id:shinsuku:20100310060539j:plain:w400


 「イノベーション脳」の心情は「いいから黙って見てろ」である。求められない限り、いかなる口出しも手出しも、彼らがいずれもたらす(かもしれない)社会利益に対する障害、あるいは成果を矮小化するものでしかない。社会に適合した者から見ると、彼らの言動は酷く幼く、もっと言うとバカに見える。賢い方法があるのに従わない=バカである。もし仮に、社会全体がイノベーション脳であったら、社会は9割のゴミと、1割のなんだかよくわからないけれどキラキラしたもの、で埋めつくされる。その価値を正しく理解したり、それを社会に適合させてみんながその価値や利益を享受できるようにしたり、それが出来るだけ長く続くような努力を、誰もしない。これは、オペレータの仕事である。

何が腑に落ちるのか

 あなたはどちらに属するだろうか。筆者の性格はどちらかというと後者寄りであるため、すこし偏った書き方になってしまっているかもしれない(なお、"得意"なのは前者である)。

 社会や組織が行き詰まるとイノベーター待望論が台頭する。そんなときにこれまでのオペレータの努力をおろそかにしてはならない。彼らはあなたの成果を最大化し、持続させる。

 社会や組織が勝ちパターンに入るとオペレータが台頭する。そんなときに身近に見かける「何かに挑戦しているバカ」*1をどうかそっとしておいてほしい。彼らはいつか必ず来る変化を打ち破り、次の勝ちパターンを構築する。

 自分が属していないほう、の人たちの価値を理解することで、彼らの行動や価値観が腑に落ちる、という話。

*1:挑戦していないバカ はオペレータに転換してもらうべき