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「北の国から」の初期、なぜ純と五郎さんは敬語で会話しているのか?

スペシャル版の断片だけ観ていていつも疑問に思っていたのですが、テレビドラマ版(全24話)を初めて通して観ていたところ第8話で、純と蛍が通う中ノ沢分校の教師、涼子先生(原田美枝子)からズバリ訊かれていました。

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涼子先生「ひとつだけ伺っていいですか?」
五郎さん「なんすか?」
涼子先生「黒板さん、どうして純君に対して丁寧な言葉でしゃべるんですか?」

桃井かおりを彷彿とさせる気だるい雰囲気でテレビドラマ当時の登場人物の中でも異彩を放つこの涼子先生、事実上の最終回となる 2002・遺言 で再登場し、純と結が出会うきっかけを作ります。

涼子先生「蛍ちゃんには普通のしゃべり方するでしょ。 …前から不思議に思ってたんですね。あれ、何か理由があるんですか?」

はい。視聴者も本当に気になってました。これをうけて

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五郎さん「…。 …いえ」
涼子先生「…」
涼子先生「…余計なこと言ってごめんなさい」
五郎さん「…。 とんでもないす」
涼子先生「…」
五郎さん「…」
涼子先生「じゃ、良いお年を」
五郎さん「良いお年を」

…ええええええ。「理由があるんですか?」との問いに対してそのまま「いえ、特に」ということと思いますが、視聴者生殺しです。

お話は続き、この第8話のラストシーン、正吉の家に紅白を観に行ったはずの純と蛍が、笠松家の家族団らんに入りきれず、自宅に戻ってきたところで五郎さんが「富良野の街の灯を観に行こう」と誘い出します。富良野の夜景を見下ろしながら今年一年の子供たちの労をねぎらい、五郎さんは純に語りかけます。

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五郎さん「純」
純「はい」
五郎さん「父さん、これまで君に丁寧な言葉を使ってきた。…そういうつもりは無かったが… いつからか、そういう習慣ができちまってた。でも、もうやめる。今からやめる。…だから、おまえもやめろ」
純「…はい」

五郎さんは言葉少なではあるものの、自らの言動を改める旨を純に伝えます。結論として、作中で理由が明確に述べられることは無いようです。

富良野に引き取るまでの間、子育てをほとんど奥さんに任せっきりにしていた引け目と、長男である純を一個の男性としてきちんと扱いたいという相克が不器用な五郎さんの性格と相まってこのような接し方として現れていたところで、先ずもって親子の信頼関係を築く必要がある、ということに五郎さんは直感的に気付いたのではないかと想像しました。

北の国から」タイトルからは想像も付かないぐらい、どろどろの人間ドラマ(しかも20年越し!)ですので、大自然と純朴な住民たち、みたいな先入観で敬遠されていましたら、是非観てみてください。途方に暮れると思います。回想シーンが多いため、意外とスペシャル版のどこから観てもすんなり入れます。